
呼吸器内科
🩺慢性咳嗽について:
長引く咳(慢性咳嗽)について
「風邪は治ったのに、咳だけがずっと続く」「夜になると咳き込んで眠れない」——このようなお悩みで来院される方は少なくありません。咳が長く続く場合、単なる風邪の名残ではなく、いくつかの病気が隠れていることがあります。このページでは、長引く咳(慢性咳嗽)がどのように診断され、どのような治療が行われるのかをご説明します。
咳の続く期間で考え方が変わります
咳は、続いている期間によって次の3つに分けて考えます。
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急性咳嗽(3週間未満):風邪などの感染症に続く咳であることが多いですが、この時期にも気管支喘息や咳喘息といった慢性の病気が隠れていることがあるため注意が必要です。
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遷延性咳嗽(3週間以上8週間未満):感染症の影響がまだ残っていることもありますが、慢性の咳の病気に移行している場合もあります。
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慢性咳嗽(8週間以上):感染症だけでは説明できない咳で、体質的なアレルギーや逆流、副鼻腔(鼻の奥)の炎症などが関わっていることが多くなります。
※ 咳止め薬を自己判断で使い続けるだけでは改善しないことも多く、原因に応じた治療が必要です。
慢性咳嗽の主な原因
8週間以上続く咳の原因として代表的なものは、次の5つです。乾いた咳(痰の少ない咳)か、痰の絡む咳かによっても原因が異なります。
① 咳喘息
痰を伴わない乾いた咳が続き、気管支が敏感になっている状態です。気管支拡張薬がよく効くのが特徴です。治療をせずに放置すると、一部の方は気管支喘息に移行することがありますが、吸入薬による治療でそのリスクは下げられます。
② アトピー咳嗽
こちらも乾いた咳ですが、咳喘息とは異なり気管支拡張薬は効きにくく、抗アレルギー薬(抗ヒスタミン薬)が効果的です。のどの奥がイガイガする感じを伴うことが多く、効果が出ると1週間程度で咳が大きく改善するのが特徴です。喘息に移行することはありませんが、再発しやすい咳でもあります。
③ 胃食道逆流による咳
胃酸が食道に逆流することが刺激となって咳が誘発されるタイプです。食後に横になると咳が出やすい、といった特徴があります。逆流を抑える薬(胃酸分泌を抑える薬)がよく効きます。
④ 副鼻腔気管支症候群
蓄膿症(副鼻腔炎)や後鼻漏(鼻水がのどに垂れ込む症状)に伴って、痰の絡む湿った咳が続くタイプです。緑がかった痰が出ることが特徴で、少量の抗生物質(マクロライド系)を続けて内服することで、痰や咳が減っていきます。
⑤ 気管支喘息
咳に加えて、喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒューという呼吸音)や息苦しさを伴います。気道が狭くなりやすい体質で、吸入薬を中心とした継続的な治療が必要です。
※ これらの病気は単独ではなく、複数が合併していることも少なくありません。たとえば咳喘息と副鼻腔気管支症候群が合併したり、乾いた咳・湿った咳のどちらにも胃食道逆流が関わっていたりすることがあります。
当院での診断の進め方
まず、咳の原因となりうる薬を服用していないか、胸部レントゲンで肺炎・肺結核・間質性肺炎など見逃してはいけない病気がないかを確認したうえで、詳しい問診を行います。
問診で伺うこと
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アレルギー性鼻炎や蕁麻疹の有無
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子どもの頃の気管支喘息の既往、喘息の家族歴
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蓄膿症・中耳炎の既往、鼻づまりや後鼻漏の有無
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胃酸の逆流症状、ペットの飼育歴、喫煙歴
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痰の有無と性状(粘っこいか、色はどうか)
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咳が出る部位や時間帯(就寝後に多い、朝方に多い、食後に横になると出る、など)
必要に応じて行う検査
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胸部レントゲン検査:肺の病気や副鼻腔炎の有無を確認します。
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呼気一酸化窒素(NO)濃度検査:アレルギー性の気道炎症の程度を調べる検査で、喘息や咳喘息の可能性を判断する参考にします。
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気道可逆性検査・気道過敏性検査:気管支拡張薬で呼吸機能がどれだけ改善するか、気道がどれだけ敏感かを調べ、喘息・咳喘息の診断に役立てます。
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喀痰検査:痰の中の細胞を調べ、アレルギー性か、細菌性の炎症かを判断する参考にします(実施できる施設は限られます)。
治療の考え方
治療は、乾いた咳か、痰を伴う咳かで大きく方針を分けます。
乾いた咳の場合
問診やレントゲンで胃食道逆流や間質性肺炎などを除外したうえで、まず気管支拡張薬を短期間使用し、咳が減れば咳喘息と判断して吸入薬(吸入ステロイド+気管支拡張薬の合剤)による治療を数か月続けます。効果が乏しい場合はアトピー咳嗽を疑い、抗アレルギー薬に切り替えます。アトピー咳嗽への薬は効果が出るのが早く、1週間以内に咳が大きく改善することが診断の手がかりにもなります。胃食道逆流が関与している場合は、逆流を抑える薬を併用することもあります。
痰を伴う咳の場合
気管支喘息と副鼻腔気管支症候群が主な原因です。痰の性状や色、鼻の症状を手がかりに判断し、副鼻腔気管支症候群には少量の抗生物質(マクロライド系)を継続的に内服する治療を行います。気管支喘息には吸入薬に加えて、内服の抗アレルギー薬(ロイコトリエン拮抗薬)を併用することがあります。咳喘息やアトピー咳嗽に副鼻腔気管支症候群が合併している場合は、それぞれの治療に少量の抗生物質を組み合わせることで改善することもあります。
まとめ
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8週間以上続く咳は「慢性咳嗽」と呼ばれ、単なる風邪の名残ではなく原因を調べて治療することが大切です。
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乾いた咳(咳喘息・アトピー咳嗽・胃食道逆流による咳)と、痰を伴う咳(気管支喘息・副鼻腔気管支症候群)に分けて考えます。
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原因によって効果のある薬が異なるため、問診と必要な検査をもとに一つずつ見極めながら治療を進めます。
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複数の原因が合併していることも多く、治療の反応を見ながら組み合わせを調整することもあります。
咳が2〜3週間以上続いている、市販の咳止めを飲んでも改善しない、夜間の咳で眠れない、といった症状がありましたら、一度当院までご相談ください。
参考:咳嗽・喀痰の診療ガイドライン2025(日本呼吸器学会)
🩺気管支喘息について:
現在, 気管支喘息は,一種のアレルギー性の気管支炎と考えられています。その原因としてアレルギーの原因となるもの(アレルゲン)が見つかるタイプ(アトピー型といいます)が多いですが,アレルゲンがみつかるとは限りません(非アトピー型といいます)。気管支の炎症により、気管支が狭くなったり痰が増え,ゼイゼイをともなう呼吸困難などの発作を引き起こします。重症の発作の場合には死に至ることもあります.現在のところ喘息は完治してしまう事は難しいと考えられていますが,通常は治療により発作のない状態を維持し,健康な方と同様の生活を送ることができるようになっています。
気管支喘息には国際ガイドラインがでていて,当院でもそれに沿って治療しています。
気管支喘息の治療の目標としてガイドラインで喘息治療の目標が掲げられています。そこには、「健康な人と変わらない日常生活が送れる、正常に近い肺機能を維持できる、夜間の症状がなく十分に睡眠が取れる、喘息発作を起こさない、喘息死を防ぐ、そして治療による副作用がないこと」があげられています。
・どのような症状がありますか?
息が苦しい、ゼイゼイする、咳がでる、といった症状が発作的に出ます。特に夜間や早朝に出やすいです。これはサーカディアン・リズムという一日の中での体調の変化により,この時間帯に最も肺機能が低下するためです。喘息の症状は治療しなくても自然に良くなることがありますが,発作がなければ普通の人とまったく変わりません。
・どのような時に発作が出やすいですか?
喘息の症状が悪くなる原因として以下のようなものが言われています。 (ア) アレルゲン (イ) 呼吸器感染症 (ウ) 運動や過換気 (エ) 気象 (オ) 二酸化硫黄 (カ) 食品・食品添加物 (キ) アルコール (ク) 薬物 (ケ) 心理的ストレス (コ) 過労 (サ) 月経
💊喘息の治療について
治療薬は発作を予防する薬と, 発作を止める薬の2つに分けられます。気道の状態を改善して発作を予防する薬を長期管理薬(コントローラー),一時的に気道を拡張して発作を止める薬を発作寛解薬(リリーバー)といいます。
長期管理薬(コントローラー)吸入ステロイド(ICS)、長時間作用型β2刺激薬(LABA)、ICSとLABAの合剤、ICSとLABAおよび長時間作用型抗コリン薬吸入(LAMA)の三剤合剤や抗ロイコトリエン拮抗薬、徐放性テオフィリン製剤、抗IgE抗体があります. 難治性喘息では生物学的注射製剤・経口ステロイドの使用を考慮する場合があります。
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