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慢性咳嗽について:

 咳嗽は持続期間により分類されています.3 週間以内の咳嗽を急性咳嗽,8 週間以上続く咳嗽を慢性咳
嗽といい,  3 週間以上8 週間未満の咳嗽は,遷延性咳嗽,subacute cough(亜急性咳嗽)と呼びます.

遷延性・慢性乾性咳嗽の4 大原因疾患は,咳喘息,アトピー咳嗽,かぜ症候群後咳嗽(感染後咳嗽),
胃食道逆流による咳嗽などです.湿性咳嗽の原因の大部分は,副鼻腔気管支症候群で、蓄膿症や中耳炎など

鼻の疾患を持つ方に合併しやすいです.

かぜ症候群後咳嗽は,ウイルスや肺炎マイコプラズマ,肺炎クラミジア感染後に咳嗽が遷延する病態で、

ここには百日咳による咳嗽も含まれます.かぜ症候群後咳嗽は,遷延性咳嗽(亜急性咳嗽)の主要な原因疾患で,

自然軽快傾向のある疾患でもあります.一方胃食道逆流は,その名の通り,「胃内容物が食道に逆流する」こと

で,胃食道逆流による咳嗽は,咳嗽を主な症状とし,胸やけなどの胃食道逆流症状の訴えがはっきりしない場合もあります.治療としては咳喘息はβ刺激薬が著効し,3-4割喘息に移行することが報告されていて6から24カ月ステロイド吸入にて喘息の移行を減らすことができます.アトピー咳嗽は咽頭、喉頭の咳感受性が亢進していて,抗アレルギー薬が著効します.胃食道逆流による咳嗽はプロトンポンプ阻害薬がきき,副鼻腔気管支症候群では気管支および鼻腔粘膜の繊毛運動を活性化させるマクロライド系抗生剤が効果を示します.

気管支喘息について:

現在気管支喘息は,一種のアレルギー性の気管支炎と考えられています.その原因としてアレルギーの原因となるもの(アレルゲン)が見つかるタイプ(アトピー型といいます)が多いですが,アレルゲンがみつかるとは限りません(非アトピー型といいます).気管支の炎症により、気管支が発作的に狭くなったり痰が増え、ゼイゼイいったり呼吸困難といった発作を引き起こします.重症の発作の場合には死に至ることもあります.現在のところ喘息は完治してしまう事は難しいと考えられていますが,通常は治療により発作のない状態を維持し,健康な方と同様の生活を送ることができます.
 気管支喘息には国際ガイドラインがでていて,当院でもそれに沿って治療しています.

気管支喘息の治療の目標

 ガイドラインで喘息治療の目標が掲げられています。そこには、「健康な人と変わらない日常生活が送れる、正常に近い肺機能を維持できる、夜間の症状がなく十分に睡眠が取れる、喘息発作を起こさない、喘息死を防ぐ、そして治療による副作用がないこと」があげられています。

どのような症状がありますか?

 息が苦しい、ゼイゼイする、咳がでる、といった症状が発作的に出ます。特に夜間や早朝に出やすいです。これはサーカディアン・リズムという一日の中での体調の変化により、この時間帯に最も肺機能が低下するためです。喘息の症状は治療しなくても自然に良くなることがありますが、発作がなければ普通の人とまったく変わりません

どのような時に発作が出やすいですか?

 喘息の症状が悪くなる原因として以下のようなものが言われています。 (ア) アレルゲン (イ) 呼吸器感染症 (ウ) 運動や過換気 (エ) 気象 (オ) 二酸化硫黄 (カ) 食品・食品添加物 (キ) アルコール (ク) 薬物 (ケ) 心理的ストレス (コ) 過労 (サ) 月経

喘息の治療について

治療薬は発作を予防する薬と, 発作を止める薬の2つに分けられます. 気道の状態を改善して発作を予防する薬を長期管理薬(コントローラー)、一時的に気道を拡張して発作を止める薬を発作寛解薬(リリーバー)といいます。

長期管理薬(コントローラー)吸入ステロイド(ICS)、長時間作用型β2刺激薬(LABA)、ICSとLABAの合剤、抗ロイコトリエン拮抗薬、徐放性テオフィリン製剤、抗IgE抗体があります. 難治性喘息では注射用・経口ステロイドの使用を考慮する場合があります.最近、あらたに抗コリン薬が重症持続性喘息に対し適応が拡大されました.

 

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